46_痔ろうQ&A(手術編)

開放切開術とは

Q.開放切開術とはどの様な手術ですか

開放切開術は簡単な痔ろうの場合に用いられる一番単純な手術法です。痔ろうになってしまった部分を切り取るだけの最も簡単な方法です。

簡単なだけあって、他の手術に比べ最も早く完治します。

ただし、開放切開術を用いることが出来る痔ろうは限られており、どんな痔ろうでも使えるわけではありません。

開放切開術について詳しく解説します。

開放切開術の詳細

開放切開術は主に以下の様な特性を持っています。

 

開放切開術の特性
項目状態
痔ろうのタイプI型、もしくはII型
2次口の位置肛門の後ろ側(背中型)
手術難易度簡単
麻酔のタイプ腰椎麻酔
手術時の痛み無し(麻酔が効くため)
再発率極めて低い
入院日数日帰り~1週間程度
手術後1ヶ月~2ヶ月程度で完治
後遺症完治までおならが我慢しにくい

 

痔ろうのタイプはI型、もしくはII型で実施可能

開放切開術が使用できる痔ろうは『I型』、『II型』のどちらかです。痔ろうのタイプは外からは判断することが出来ず、手術で肛門の奥を視認するかMRIで確認する必要があります。

 

手術難易度は簡単

3つある痔ろう根治手術の中で最も簡単です。なんといっても患部を切り取るだけなので失敗する可能性も非常に小さいのです。

 

麻酔のタイプは腰椎麻酔

肛門は神経が集中する部分であり、部分麻酔では痛みが残る可能性があります。その為、腰下を全て麻痺させる『腰椎麻酔』を使用します。

 

手術時の痛みは全くなし

しっかり麻酔が効いていれば手術時の痛みは全くありません。

 

再発率は極めて低い

開放切開術では、ろう管を全て除去してしまいますので同じ場所で痔ろうが再発する可能性は極めて低くなります。

 

入院日数は日帰り~1週間程度

麻酔が全身麻酔ではなく腰椎麻酔になる為、しびれが切れる6時間程度待てば家に帰る事ができる、いわゆる日帰り手術も可能です。手術後何日入院するかは病院によって様々ですが長くても1週間程度であることが多いようです。ちなみに私は2泊3日でした。

 

手術後は1ヶ月から2ヶ月で完治

手術後、痛みは2,3日で引いてしまいます。その後は滲出液が出続け、2ヶ月程度で完治します。

 

後遺症

お尻の傷が完治するまでの間、肛門を囲む肉が減っているのでおならを我慢するのが少し難しくなります。全く我慢できない訳ではありませんので、気をつけていれば大丈夫です。完治すればちゃんと今までどおり我慢できるので安心して下さい。

 

 開放切開術の流れ

開放切開術の流れについて説明します。

 

 1.腰椎麻酔

開放切開術(腰椎麻酔)

開放切開術(腰椎麻酔)

まず、腰椎麻酔を行い腰下の痛みを感覚を一時的に麻痺させます。腰椎麻酔の針は非常に細いので痛みはほとんどありませんので安心してくださいね。

 

2.ろう管確認

切開開放術(ろう管確認)

切開開放術(ろう管確認)

麻酔が聞いたことを十分確認した後、ゾンデと言われる細い金属棒で2次口から1次口に向かって突き刺していくことでろう管がどこを走っているかを確認します。内容だけ読むと非常に痛そうですが、既に麻酔がかかっているので痛みは全くありませんので安心して下さい。

 

3.切開、切除

切開開放術(切開・切除)

切開開放術(切開・切除)

ゾンデでろう管の場所が確定したらレーザーメスを使用して痔ろうを少し大きめに切除していきます。レーザーメスにより肉が焦げるので手術室には焦げ臭い匂いが立ち込めます。

 

切開開放術(切開・切除)

切開開放術(切開・切除)

ろう管自体は非常に細いものなのですが、少しでも残っていると手術後に痛みが出てしまう可能性があるので少し大きめに切除することになります。なお、切除した後は特に処理すること無く切除してそのままガーゼを貼って手術は終わりです。だから『開放』切開術なのです。

 

 4.自然治癒

切開開放術(自然治癒)

切開開放術(自然治癒)

手術後からすぐに『滲出液』と呼ばれる体液が分泌されます。滲出液は血管から染み出してくる体液で傷口の再生に寄与していると言われています。しかし、止めどなく出てくる為、下着や服が汚れないように生理用ナプキンを当てて吸収させることになります。滲出液は1ヶ月から2ヶ月程度分泌されます。

 

5.完治

切開開放術(完治)

切開開放術(完治)

手術後、1ヶ月から2ヶ月程度で切除された肉が再生し、再びきれいなお尻に戻ります。開放切開術の場合は手術痕が残る事はほとんどありません。

 

 

 

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