44_痔ろうQ&A(通院編)

痔ろうの診察はどの様な事をされますか

Q.痔ろうの診察はどの様な事をされますか

A.シムス姿勢での触診がメインです

肛門科の基本は先生が手袋をはめた手で直接肛門に指を入れて診断する『触診』がメインになります。主な流れは以下の通りです。

聞き取り

初めは普通の病院と同じく診察室の椅子に座り、先生の聞き取りを受けます。
聞き取りされる内容は主に以下の通りです。

  • 症状はどの様なものか
  • 症状はいつからか
  • 以前にも同じ様な事はあったか
  • 肛門周りから血が出たことはあるか
  • 肛門周りから膿が出たことはあるか

これらの問診はあなたのおしりの痛みが痔ろうや肛門周囲膿瘍から来るものなのか、またはそれ以外なのかを判断するための重要な情報となります。

 

ズボンを緩めて診察台に横になる

出すのはお尻だけですので脱ぐ必要はありません。ズボンを脱ぎやすくして診察台に横になり、それからズボンをずらしてお尻を出すと前を出さずに済みます。スカートであればさらに楽です。

 

体を丸めてお尻を突き出す『シムス姿勢』を取る

診察してもらいやすい姿勢として『シムス姿勢』というものがあります。体を丸めて足を抱え込むような姿勢を取ると自然とお尻が突き出される様な姿勢になります。この体勢が肛門診察には最適です。

 

ベッドが昇降され診察に良い位置になる

肛門科のベッドは診察しやすいように高さが調整できます。ほとんどの場合、座った先生の腰から胸の高さまで上げられると思いますので、慌てておりて怪我をしないようにしましょう。

 

触診が行われる

初診の場合、ほとんどが触診からスタートすると思われます。薄めのゴム手袋をした先生が指を肛門に挿入し、触った感触と患者の「痛い」、「異物感がある」などの感覚を聞きながら病気の原因を診断します。滑りを良くするためにゼリーが塗られますが違和感は強く感じます。
この時、初めての方は「うんちがでそう」と感じられると思いますが、事前にトイレを済ませているのであれば大量に出る事は無いと信じて力を抜いて下さい。力を入れてしまうと先生の指が思うように入らず余計な痛みが生じる事になります。
触診の際には、先生が指を回しながら四方八方を強めに押さえます。この際に、指先にしこりがあったり、抑えられて痛みがある場所があれば、その場所に痔ろうがある可能性が高くなります。

 

肛門鏡などで内部を視認する

触診で痔ろうや内角痔が疑われる場合は『肛門鏡』と呼ばれる器具を使って肛門の奥を視認します。肛門鏡は肛門に挿入し、肛門を広げたままで固定する事で肛門の奥を観察しやすくする器具です。

ただし、肛門のすぐ近くしか診る事ができない為、痔ろうの原因となる歯状線まではしっかりと確認する事ができません。痔ろうを断定する為ではなく、主に痔ろう以外の原因が無いかを確認する為に用います。

 

2次口の写真を撮影する

肛門付近に痔ろうの膿がでる出口となる『2次口』が生じている場合、写真撮影を行いカルテと一緒に保管されます。

また、あなたへの説明時にも提示され『2次口がある為、痔ろうの疑いが強い』という説明がなされる事になります。

肛門の写真を撮られる事は非常に恥ずかしいと思われるかもしれませんが、この時点で触診や肛門鏡による診察がやっと終わった事に安堵し、「撮影くらい好きなだけやってくれ〜」という気分になります。

 

消毒、後片付け

先生がお尻周りを消毒液で拭いてくれます。先生はベッドを元の高さに戻した後、ゴム手袋を外し手を洗いに行かれます。診察台が下がり終わってからベッドを降り、服装を戻してください。

 

診察結果報告

改めて診察室の椅子に座り、診断の結果を聞きます。初診の場合はここまでの診断で『痔ろう』の疑いがあるかどうかがわかります。

触診による診断では完全なる断定は出来ませんが、その精度は8割以上と言われており、初診であっても痔ろうの疑いがあると言われた時点で、ほぼ確定と考えても良いでしょう。

万が一にも誤診で手術されたくない場合、MRIで10割に極めて近い診断結果を求めることができます。手術をする場合、3つの手術方法について説明されどれを適用するか教えてもらえます。

手術の方法は以下の3種類です。それぞれのページで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

 

-44_痔ろうQ&A(通院編)