痔ろうを体験した人は男性であっても『女性特有の生理の辛さ』を知ることが出来るのです。なぜ肛門の奥で発生する病気である痔ろうでそんなことが可能になるのでしょうか。私の実体験からお教えします。
急な出血が起こる恐怖
痔ろうの初期症状に『急な出血』があります。厳密には肛門の奥が可能しお尻の中でトンネルが完成してしまい、そこから血まみれの膿が出てきます。この症状はいつ起きるのか予測することができません。
昼間かも知れませんし夜かも知れません。通勤、通学中かも知れません。会社や学校にいる時かも知れません。大事なテストや発表の最中かもしれません。
急な出血は服を血まみれにして周囲に確実にバレてしまいます。着替えを持っていなければどうしたら良いのか途方にくれてしまいます。
しかも、血まみれの膿は1回だけではなく根治治療(手術)しないと何度でも繰り返します。
この状況は女性の生理と共通する所がたくさんあります。生理が不順な人はいつ生理で血がでるか予測ができません。
生理が正確に来る人ですら確実な時間まではわかりません。血が出るとパッドを当てていても吸収しきれなかったりずれていたりすると服が汚れてしまいます。
常に血まみれの恐怖に戦わなければならない生理の辛さを体験することが出来るのです。
パッドの不快感
生理期間中は女性はパッドを付けて血が下着につくのを防がねばなりません。痔ろう患者も血まみれの膿や手術創から滲み出てくる浸出液が下着につくのを防ぐために女性用生理用パッドを使用します。もちろん男性も一緒です。
痔ろう患者は手術で入院する前にかならず生理用パッドを持参するように指示されます。独り身の男性はほぼ確実に通販で購入していることは想像に堅くありません。
パッドは提供各社の努力によりつけ心地は格段に進歩しているのだと思いますが、それでも何もつけていないときより確実に違和感があります。
パッドを使っている時の不快感
- 血で汚れたパッドを付けている不快感
- 股の間でこすれる不快感
- ズボンに形が出てしまっていないか心配になる
この様にパッドを付けることによる不快感は沢山存在します。痔ろう患者もパッドを使用することからこれらの本来は女性特有だった悩みを味わうことができます。
パッドは完璧に血が止められない
男性は『対策さえすれば生理の出血なんて完璧に止められる』と思っています。しかし、それがどれだけ大変なのかは知る由もありません。男性には生理がありませんので体験することはできませんし、女性もあえてこういった事を男性に細かく説明したがる事もないからです。しかし現実はそう優しくはありません。
出血を確実にパッドで受ける事の難しさ
まず、男性が理解すべきことはパッドは魔法の品では無いということです。パッドに直接出血が触れれば吸収してくれますが、ちょっとでもはみ出すと下着や服まで滲みてしまいます。出血する場所はある程度予測はつくものの、日中は身体を動かすのでずれてしまう事あります。都度、パッドの位置を手で直すわけにもいかないので失敗してパッドから血が溢れてしまうことなど日常茶飯事です。
普段、パッドなど使ったことがない男性の痔ろう患者はほぼ確実に下着やズボンの汚して、パッドを確実に当てることの難しさを知ることになります。
朝目覚めると血だらけ
パッドを当てて寝ても寝返りをうつだけで容易に血はパッドを逸れて服に滲みを作ります。生理の量が多い女性は朝起きると血が漏れすぎて血まみれだったなんてことも珍しくありません。
貴重な朝の時間に急に発生した血まみれ事件で、血に塗れた下着やパジャマ、布団などを洗わねばならず、会社や学校に遅刻しそうになるのです。
普段、生理を経験することのない男性も、痔ろうになるとこの様な不意に訪れる朝の不幸な事件さえ体験することになります。
手術後の痛み止めを忘れると『辛い時の生理痛』も味わえる
極めつけはあの辛い『生理痛』まで男性でも味わうことが出来るのです。痔ろう手術w受けると必ず痛み止めが処方されます。正しく服用しれいればほとんど痛みを感じることは無いのですが、万が一飲み忘れてしまうと手術創から生じる痛みに襲われる異なります。
痔ろう手術後の痛みは『辛い生理痛』の痛みに似ている
担当してくださった看護師さんから聞いた話ですが、痔ろう手術を受けた後の痛みは女性の『辛い生理痛』の時の痛みとそっくりなんだそうです。
つまり、手術後痛み止めを飲み忘れることで男性であっても『辛い生理痛』の時の痛みを味わうことが出来てしまうのです。
大抵の男性は『生理痛の痛みは我慢できるレベル』だと思っている
私は痛み止めの飲むタイミングを間違えて痔ろう手術後の痛みに遭遇しました。ちなみにあまりの痛さに我慢できず10分で音を上げて看護師さんに痛み止めを点滴してもらいました(´;ω;`)
男性諸君に申し上げておくと、あの痛みの中で通常通り生活しろ、というのは不可能です。まず、痛すぎて考えることが出来ません。歩くのも辛いです。生活するだけで精一杯です。寝転がっているだけでも痛いです。生理休暇で休んでいても決して遊ぶ気分にはなれません。生理休暇なんて要らないから男に生まれたかった!と思うこと間違いなしです。
男に生まれたけど数々の『女性特有の生理の辛さ』を知ることが出来てよかった
生理は女性にしか起こらないため、その辛さやしんどさを男性が直接知ることはとても難しいです。その為、男性は女性が生理になってもどれだけ大変なのかを想像出来ないため、軽いものと考えがちです。その結果、生理中の女性を思いやることが出来ず、度々けんかになってしまいます。
痔ろうを経験すると、生理の辛さを擬似的にですがかなりリアルに近い所まで体験することができます。生理のときには痛みが半端ないこと、常にパッドを当てていてむずむずすること、血が滴っていないか不安なこと、血で汚れた服や布団を洗わねばならず時間ばかり取られてしまこと、ただでさえ辛いのに1週間も続くことなど、男性に生まれると推測することすら難しい数々の生理の辛さを体験することが出来ます。
この経験があることで、痔ろうで苦しんだ男性は生理中の女性の気持ちをとても良く推測できるようになります。なんと言っても一度体験した身ですからね。どこのパッドがおすすめだよ!的な話まで出来てしまうレベルです(本当にやると勘違いされてしまうのでできませんが・・・)
痔ろうは辛い病気ではありますが、『男性の私が女性特有の生理の辛さを知ることが出来た』ことは貴重な体験だったと言えるでしょう。